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La vie en rose ・・・ 歌うこと・生きること・楽しむこと


ソプラノ歌手の森朱美。子育てと音楽。人生最後の日に「La vie en rose!」といえたら・・・と日々奮闘中!
by moriake
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男と女 その4

「声」の唯一の登場人物は若くエレガントな女性が演じなければならない!
プーランクはスコアの1ページ目にそう書いた
そして恋人に捨てられて当然のように見える年老いたご婦人であってはならない!と続く
そもそもジャン・コクトーの傑作「声」を時の人マリア・カラスのために一人舞台のオペラに
して欲しいと依頼されたところから話は始まった。
芝居では、観客はふられた女の繰り言に共感し涙さえ浮かべたが
オペラには向かないスタイルのこの作品にプーランクがどうしてのめり込んだのか?
向かない理由はいくつかあるが、相手の男や他の登場人物のセリフが描かれていないためオペラ特有の会話のやりとりを音楽に乗せることができないというのが決定的に難しいとされた
シェーンベルクの「期待」というモノオペラはあるがドラマに象徴的な要素が強いので少し条件は違うかな
でもプーランクが生み出した音楽はそれはそれはドラマティックで狂気じみていて、でも切なてく美しいものだった 
コクトー自身がプーランクに自分の朗唱法を確立してくれたと感謝しているほどだ


コクトーも台本の1ページ目にこんなことを書いている
女を演じる女優は 意図的な芝居をしない、捨てられた女の皮肉や嫌味を交えない、
男を愛してるごく平凡な女でいて欲しい。

プーランクは結局カラスの為にではなく、歌手としても友人としても
心からの信頼をおいていたドゥニーズ・デュヴァルをイメージして書いた。
プーランクと共演しているお宝映像も残っているので彼女の美しい容姿と
繊細で抒情的な演奏を聞けば納得できる。

電話が普及し出したのは1900年前後でコクトーがこの戯曲を書いたのは1931年。オペラになるのは更に27年後で、世界は大きく変わっている
電話も進化を遂げ、実は既にダイヤル式も普及していたから交換手はいなかったし、混線も滅多におきなかったらしい
でも私は「もしもし?交換手さ~ん!」というイライラしたやり取りの場面が好き・・・

戯曲のほうを見てもちょっとレトロな趣のある色彩を感じるが、コクトー自身が生きた今のドラマを描いたわけでなく少し前の時代の雰囲気をかりて、男と女の一見ありがちな1シーンをコテコテのフィクションとして創作したというところだろうか。女のセリフの言い回しや単語選びにこだわった個所があるところをみても、決してリアリズムとは言えないのかもしれない  やはりコクトーは詩人!すべてが計算された詩の言葉なのだ!


実のところ、様々なエピソードの中で女性側からみたら「そんなこと言わないわ!」って共感できな部分もしばしばある
「女」は「男」なのではないか?という見方も大いにできる

いずれにしてもこんな事態に陥ってしまうほど、自分を狂わせた相手がいた!というところがミソなんだなぁ

私の尊敬するピアニスト&文筆家の青柳いずみこ女史はこの件について一言

オム・ファタル なのだと言い切った

カルメンやマノンについていわれる ファム・ファタルは「宿命の女」と訳され
有名なフランス語ですがその男性版ですね

その魅力に憑りつかれたら最後!人生を棒に振る!という男性に出会ってしまった・・・
ということです

一体どんな彼だったのだろう・・・
そんなに別れ難いなんて・・・

興味津々ではありますが・・・また今度!


by moriake | 2013-04-29 00:15 | 歌うこと

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