La vie en rose ・・・ 歌うこと・生きること・楽しむこと
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◆タワーレコード
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フランス歌曲に魅せられて過ごした藝大時代。発声の基礎もままならないというのに、手当たり次第フォーレやドビュッシーをレッスンに持ってきました。師匠は「あらまあ、次から次に…あなたはことごとく私が勧める曲はやらないわね…」と呆れ顔で笑っておいででした。20歳の私は、フランス歌曲のキラキラした和音の響きに感動しながら、同級生のピアニストと合わせる時間がなにより幸福でした。
その後、大学院時代は師匠の勧めで、当時藝大に客員教授で来日していたイタリアのソプラノ歌手アルダ・ノニ門下に里子に出され、イタリアオペラのための発声を叩き込まれることになります。この3年間でオペラの魅力に開眼し、同時にオペラ歌手として生きることの厳しさも知りました。修士の学位は異色のフランスオペラ.、プーランク作曲「声」(モノ・オペラ)をテーマとし、台本(歌詞)から生み出される音楽について探りました。自分がもっとも好きなフランス歌曲における表現とオペラとを融合するという試みはとえも楽しい研究でした。
その後二期会オペラ研修所を経て、当時文化庁が行っていたオペラ歌手育成のための研修所に進み、生涯の友となるとても優秀で楽しい仲間たちと出会います。
その後文化庁から頂いたフランスでの勉強の切符を手にパリに!
パリでは、当時一世を風靡していたフランス人のコロラトゥーラ歌手ナタリー・ドゥセイを支えていたジャンピエール・ブリヴェ氏に師事し、発声の基礎を改めて学ぶことになります。彼の発声メソッドはとても自然で、体を充分に響かせるためのトレーニングは今でも価値あるものだと考えています。ナタリーはその後アメリカに渡り、多忙を極めた上にレパートリーを広げ過ぎたため早くに声を失ってしまいましたが、2枚目あたりのCDでは、ジャンピエールと共に彼女の体(楽器)と発声と音楽性がピッタリと合って素晴らしい世界を生み出しています。その時期の学びは、私にとって今も大切な宝物です。
日本に帰ってからは、ありがたいことにフランス帰りということでフランス歌曲を歌うお仕事が沢山舞い込みました。しかしここだけの話…フランス時代にはフランス歌曲は殆ど歌っていなかったので、ここから私の本当の「フランス歌曲修業」が始まります。
フランス歌曲の師、後藤寿子先生に導いていただきながら、度々来日するダルトン・ボールドウィン、エディット・ゼリグ、ラッシェル・ヤカール、エリー・アーメリング氏などなど名だたる名演奏家達に教えをいただきました。
そして、二人の子供を出産してからは、時間の制約はあるものの、自分のアイデンティティを守るため、精神的なバランスを保つために、歌曲の勉強は必須となりました。出産された方が良くおっしゃる、「社会から取り残される恐怖のようなもの」に打ち勝つための唯一の手段として。
周りの助けてに支えられ、少しづつ演奏の仕事もさせてもらい、育児期は順調でした。しかし、子供達は私が子守唄を歌うと目をパッと開いて「ママはまたお仕事の事を考えてる!」と言わんばかりに泣き出しました。それも仕方ないこと、出産直後でも本番が近づくと授乳しながら、夜な夜な壁に貼った歌詞を呪文のように唱えて暗譜している母の姿を見ていたからでしょう。
その頃、二期会にフランス歌曲研究会が発足しました。師匠の勧めで取りまとめる役員の一人となり、日本でフランス歌曲を専門的に学べる場を作るお手伝いを始めました。そこでは、声楽作品のレッスン以外にもフランス音楽について、フランス文学について、フランス文化について、たくさんの先生方から学ぶ機会を得られます。
そのご縁で、テノールの三林輝夫先生、メゾの中村浩子先生、バリトンの鎌田直純先生、テノールの武田正雄先生、ソプラノの浜田理恵先生などのフランス歌曲のスペシャリストの方々とお近づきになることができ、たくさんのことを学ばせていただいています。
一方、ロシア歌曲との出会いはずっと後でした。フランス歌曲の繋がりで、日本フォーレ協会、日本セヴラック協会にお誘いいただき、作曲家の故末吉保雄先生と出会いました。先生とは頻繁に共演させていただき、フォーレ、セヴラックの作品を始め、先生の作品も歌わせていただきました。お宅でのリハーサルはとても楽しい時間でした。ピアノ合わせ以外でも、先生の頭の中にインプットされている沢山の知識や経験談を聞かせていただくお茶の時間は有意義なひとときで、まだ小さな子供達も連れて度々伺ったものでした。
そのお話しの中で、先生は「森さんの声や音楽はロシア歌曲にも合うなぁ…」と度々呟かれました。当時の私は、ロシアの音楽を歌えるのは、大きな体で大砲のような声を出す歌手しかいないと思っていたので大変驚きましたが、その後リムスキー=コルサコフやラフマニノフの作品を知るようになってその意味が段々とわかってきました。
こんな素敵な音楽の世界があるのだと知ってからは、青春が戻ってきた気分で、また手当たり次第に歌いたい曲に挑戦していきました。二期会のロシア歌曲研究会を主宰されているバスの岸本力先生にはたくさんのことを教えていただいています。
ロシア語の響きは、どの母音をとっても美しく、チャイコフスキー以降の近代歌曲のスタイルはフランス音楽の影響が顕著で、一瞬耳を疑うほどです。そしてフランス音楽にはない、ぐっと切なく情感豊かな表現が突如現れたりするので、日本人の民族的な魂が揺さぶられます。
まだまだ初心者ではありますが、今回の録音にあたり、これから一生共にしていきたい音楽を集めて、新たな出発を!と思い、勇気を持って選曲しました。
ロシア歌曲もフランス歌曲も、音楽と文学とその時代の歴史とが大きく繋がっていて、知れば知るほどその奥行きに感銘をうけます。それを声に乗せて表現することは私にとって大きな喜びです。
今回は、その日常のほんの一瞬を切り取った録音で、力不足を痛感するばかりですが、私の多くの無茶振りに好奇心をもって快く協力してくれたピアノの新井啓泰さん、録音に付き合ってくれた、未来の名エンジニア松本七海さん、私の想いを実現へと導き、協力してくださった宇都宮短期大学の学長須賀英之先生に心から感謝いたします。
後藤寿子先生はどんな感想をくださるでしょうか。先生と勉強したフランス歌曲と初めて聴く私のロシア歌曲。ご感想はどうぞお手柔らかに!とお伝えして笑笑…お供えさせていただきました。
先生。ずっと見守っていてください☺️
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