La vie en rose ・・・ 歌うこと・生きること・楽しむこと


ソプラノ歌手の森朱美。13歳と10歳の2児の母でもあります。人生最後の日に「La vie en rose!」といえるようになれたら・・・と日々奮闘中!
by moriake
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ハムマガ10 最終回

ハムマガ涙の最終回!!
なんで涙なん?

オペラ「ハムレット」は二日間の公演を無事終了!
予想通り残暑が厳しい土日でしたがありがたい事に沢山のお客様がお越しくださいました!
県民ホールの上階ロビーから見る横浜の海と空はキラキラと輝いておりました。
初めてオペラを観に来て下さったお客様は楽しんでいただけましたでしょうか?
キャストも合唱もダンサーも子役さんもオーケストラもすべてのスタッフが全力でそれぞれの役目を勤めました。本当に沢山の拍手をありがとうございました!(涙その1)

まずオフィーリア役としての感想は・・・
私が予想していた以上にお客様はオフィーリアの場面を期待していた!
初日組の盛田麻央さんの大成功で関係者もそれを再確認!!
「森朱美もたのむぞ~!」的な視線を痛~いほど受け
プレッシャーMAAAAAAAAX!!!!!(涙その2)

オフィーリアは1幕2幕3幕4幕と1場面ずつ登場するのですが(2幕はフィナーレもあり)
3幕までは一応まだ正気モードで意外と中間音メインのしっかりした声が求められる音楽になっています。
私の実力でこの辺をドラマの勢いに任せ歌い飛ばしてしまうと・・・4幕で玉砕!!(キャー!)
なんてことも・・・という不安がありました。ゲネプロでは限界に挑戦した感もありましたが本番は少し慎重になっていました。(涙その3)

舞台はナマモノ!
どんなに練習を重ねても本番はびっくりするような出来事が起きるものです。勿論大きな危険を伴う事故は絶対に起きないように今回も舞台スタッフが舞台の袖に潜んで見守ってくれていました。総勢何人いたのかなぁ。20人くらいいたかなぁ。とにかく照明があたってる所以外は真っ暗なんです。転び屋の私はいつも手を繋いでもらって移動しておりました。
そうそう!今回嬉しかったことその1!舞台監督(舞台上全てを仕切る責任者)のTOKUさんがリハの時にボートから降りる私をひょいっ!とお姫様抱っこしてくれた~~~!この大きな女の私をですよ!幼い頃から夢に見てたお姫様抱っこ!感動!(涙その4)
それはいいとして今回も色々ありましたが内緒で~す。
2幕で私が投げ捨てた本が縦に立った時は思わず笑いそうでしたが、それって縁起がいい!って意味不明な慰めもらいました・・・(笑)。

良くも悪くもオペラ「ハムレット」はオフィーリアが目立つように描かれておりますが、タイトルロールのハムレット様は想像を絶するセリフ(歌詞)の多さ!他の人のアリアの場面でも舞台上にいることが多い!とにかくほとんど歌ってるという大変な役です。初日の月野さんも共演した森口さんも本当に凄いと思いました。稽古中の血の滲むような苦労も隣で見ていたので終わった時は母のような気持ちで感動しました。(涙その5)

終演直後の森口&森コンビ(掲載OK頂いてます)
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舞台について・・・
今回の舞台にはお城や宮殿の広間は出てきませんでした。
いわゆる象徴的な舞台で「水に浮かぶ島」でドラマが進みます。
そこは現実世界とあの世の中間の世界で、悩める人間たちがウヨウヨしています。
不気味に光る大きな月がすべてを支配しているかのようでした。
オフィーリアは月と妖精(死神?)に操られるように死の国への小舟に乗り込みます。
演出家の佐藤さんはデンマーク王室の歴史物を現代の日本人である私達がただ真似て伝えるのではなく、普遍的なテーマを炙り出したかったのだと思います。
観る方それぞれ趣味が違いますから舞台設定については色々なご感想があると思いますがそれでいいのです。画期的な公演ほど昔から賛否両論の中で生まれています。
照明が美しかった~!

賛否両論と言えば・・・
オフィーリアの衣装でしたね。
1.2幕は・・・(涙その6)
アラフォー末期の私としては勇気のいる衣装でした。
身内には「イタくて見ていられなかった。」と言う者も若干1名おりましたが、子供たちは「ママかわいかったよ!」って言ってくれたので良しとします。1.2.3.4幕とオフィーリアが女に成長してゆく様を表現したかったということです。「オフィーリアのイメージとは違う!と思ったけど個人的には萌え!」というマニアックなつぶやきの男子もいました。汗
3幕は王妃が冒頭の婚礼で着ていた花嫁衣装をオフィーリアに無理やり着せたという義母のちょっとしたお仕着せ的アイディアも面白い。
4幕の狂乱ドレスは大抵白が定番ですが、今回は醒めるような青が肩から縦に染められた印象的なドレスでした。4幕の幕開きから水の精の化身となったオフィーリアがいました。
映画だったらCGや特殊メイクで脱皮的なエグい演出もありかも・・・
狂乱ドレスだけは演出家のこだわりで最後の最後まで修正を重ね作り上げました。
衣装さん渾身の手染めですよ!!!
ちなみにワンショルダー的な肩だしも意図的です。(中身が見えないよう細工してあります!)

あっという間に長くなってしまいました!
残念ですがこのへんで・・・

おおおおおっとーーっ!大事なことを忘れておりました!
今回のオペラ「ハムレット」フランスのグランドオペラというジャンルに属しておりまして、合唱の活躍が大変重要な作品でした!合唱が最初の場面から板付き(幕が開く前から舞台にいること)で登場し、最終幕5幕の幕切れのカットアウト(照明がパッと消えること)まで活躍する作品は珍しいです。
今回のオーケストラの規模からみたらもっともっと人数がいないと大変でしたのに少数精鋭で皆さん全力で歌い演じていました。
5幕は今回の演出ではオフィーリアは(死体)登場しませんでした。
象徴的に青いベールが飾られるだけ。
お陰で私は舞台袖で最後のシーンをゆっくり見ることが出来ました。
「誰の葬式だ?」
「お前知らないのか?!」
というハムレットとレアティーズのやりとり。
そして葬列の合唱・・・あまりに美しく切なくやるせないシーンで本当に涙がポロポロ出てきました。
お客様も涙をぬぐっていたそうです。(涙その7)
ハムレットをはじめキャストも合唱もダンサーも素晴らしい歌と芝居で心に迫るものがありました。
「ハムレットって泣けるオペラだったんだ~」って初めて思いました。
「あ~ん!オフィーリア可愛そう!」ってあたしか?!
自分の死を見て涙ポロポロ・・・ってことは幽体離脱?!
よくわからなくなってきたぞ~。
これ以上いくとまた狂乱しそうなのでこれでおしまい!

合唱団の皆様!打ち上げ楽しかったですね~!
余韻に浸る間もなく皆さんは来年の練習が始まりますね。
来年の公演もご成功お祈りしていま~す!! 
今度はドイツ語ですね!がんばってくださ~い!

終演直後女性合唱の皆さんとマエストロと森口さんと(岩村さんにもOKもらってます)
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今年の夏休みは一生忘れない!!(涙その8)


ハムマガを応援してくれて本当にありがとうございました!(涙その9)


FIN(涙その10) ・・・なんでやねん!
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by moriake | 2013-09-02 13:03 | 歌うこと

ハムマガ9

ハムマガもいよいよ大詰め!
最後の更新になってしまうかな…
お稽古の合間に合唱の方々に「ハムマガ楽しみにしてます!」って声をかけられ「えっ?え~~っ!はずかし~」と赤面…現場では気づかれないようにしてたのに…

本日は1回目のオーケストラとのリハが無事終わりました。このところ苦悩の日々を送ってたのでホッと一息です。これからはずっとオーケストラと歌える!嬉しい!今更言うのもなんですがオペラ「ハムレット」音楽カッコいいっす!木管金管楽器の活躍には目を見張るものがありますし、悲劇ではありますが、幕開きから祝典のファンファーレへと流れていくさまは雅で華やかです!いきなりオーケストラが魅せてくれますよ!神奈フィル最高!マエストロの棒も冴え渡ります!
●オペラ初参戦の皆さんへ マエストロとはイタリア語で専門分野における巨匠、先生に対する敬称です。音楽界では主に指揮者や名演奏家に対して使われます。その昔フジテレビで三上博史がマエストロ!って呼ばれてた熱血ドラマありましたね…えっ覚えてない?!…15年位前の話です…汗

現代の私達は「ハムレット」(1868年)以降のオペラの名作を知っているので、この時代の音楽に触れた時にドラマに物足りなさを感じることがあります。「ボエーム」や「蝶々さん」なら泣けるのに…なんて。
それはその通り!ハムレットに感情移入して泣く人はいないでしょう。オフィーリアの死さえもミミの最期のようには泣いたり出来ません。しかしこの時代の様式の中でもっとも劇的にそしてロマンティックに描かれたオペラ「ハムレット」。この典雅な音楽に浸る時、日常の喧騒からスーッと離れたところに私たちを誘ってくれます。そして「生きるべきか~死ぬべきか~それが問題だ~~」なんて少し想いにふけってみたりして。

ハムハムハムハム

最後に生オペラ初挑戦のあなたへ!

よく質問されるのですが…
ちょっと緊張する拍手のタイミング(笑)
ご安心ください!
作曲家トマ先生はそれぞれの場面の最後に「はい!終わりましたよ!」と言ってるかのような音楽を付けてくださっています。
歌舞伎のように屋号を叫んだりする習慣はありませんが 、劇場の雰囲気も楽しんでくださいね!

ちなみにドレスコードもありません!

あっ!クーラーは恐らくガンガンきいてると思われます。
お気をつけくださーい!

…とどうでもいいような話になってきたと言うことは…ネタギレですね!汗

当日はまだまだ残暑が厳しい頃だと思います。
どうぞお気をつけていらしてください!

まだ悩んでるそこのあなた?!

チケットまだまだ間に合いますよ~!

非公開コメントで承っておりますよー!

合唱のみなさ~ん!がんばりましょうね~~~!
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by moriake | 2013-08-24 01:14 | 歌うこと

ハムマガ8

その昔クインシー・ジョーンズがマイケルに言ったそうな・・・
「迷ったら音楽を聞け!」と。
「壁にぶつかったら楽譜に立ち戻れ!」とおんなじだ!

先日の来日ライヴでクインシーはまだまだ元気なお姿を見せてくれたそうです。
プラッソンといいクインシーといい…恐るべし80歳!

ハムハムハムハム

こちらの稽古も佳境に入ってまいりました!
この時期の私は芝居と音楽のバランスがグラつきます・・・
芝居の可能性を色々と試してつい無茶をしてしまうのです・・・
指揮の岩村さんには「ごめんなさ~い!」って言ってばかりです・・・はぁ。
「打合せとちゃうやん!」と内心思っても「大丈夫大丈夫!」って言ってくれます・・・仏

さて今回は、稽古が進むに連れて私の中で大きくクローズアップされているテーマについてお話します!

息子ハムレットと母ガートルードの濃厚な母子関係について。

原作のほうでもザックリ言って母親の再婚を受け入れられないのはハムレットがマザコンだからだという見方は定番となっています。

ガートルードは一人息子のハムレットを溺愛しています。オフィーリアの事も我が娘のように可愛がっています。息子を持つ母親の最大の試練は息子の結婚!この疎ましい出来事を自分の采配によって満足できるものにするという事は子離れできない母親の最大のテーマです。そしてその後も自分の存在を誇示することが出来ればそれに勝る幸せはない!息子の愛するオフィーリアを可愛がることは息子の機嫌をとることにも繋がりますし・・・。

私がなぜガートルードのハムレットへの愛をこんな揶揄した言い方で解説するかはトマの音楽から読み取れます。ガートルードが心配したり世話をやく場面でバックに流れる音楽がどことなく場違いな感じだったり、ハムレットやオフィーリアを苛立たせるものとなっているのは、まさにトマがその効果を狙ってのことだと思います。

息子は可愛い・・・
いくつになっても頼りない・・・
誰かが助けてあげなきゃ・・・
私が息子を守る!

このような思考回路に落ち入ったら抜け出すのは難しい・・・

息子を持つ母として他人事ではない!・・・汗

少し前にPTAの育児関連の講演会を聞きに行きました。
日頃この手のものに関心が薄い私にとってはとても新鮮でした。
とても有名な先生らしく会場は満席で大人気でしたよ。

テーマはズバリ「10歳児の育て方」

10歳で接し方を切り替えなければ手遅れになる!
と脅かされ、女子には女子向けの男子には男子向けのやり方がある!と。

誰よりも(・・・世の夫たちよりも)ママの気持ちをわかってくれる先生で、ちょっと引いた目で参加してる私でさえ「先生!ほんとにそうなんですー。」って言いそうになりました。
ママの気持ちを鷲づかみにした後で「お母さん!それは間違ってますよー!」ってバッサリ斬ります。上手い!普通ならカチンッとくるダメ出しも「あ~そうよね~」って素直に入ってくる。

印象に残っている言葉は・・・

「女の子は基本的に強いんです。幼稚園時代から友達関係でチクチクと遣り合って危機に遭遇し、自然と社会性を身につけていきますから。」「~~すべき!と常識や正しいことを押し付ければ反発します。母は偉い人間じゃない!生身の女として、人生の先輩としてありのままの姿を見せる。」「そして娘の幸せな未来を同じ女という立場でサポートしていく。」

「男の子は弱いです。」「男は論理的な生き物です。生れつき正義感があります。まだ未熟なこの時期不条理なことに対応するのが難しい。」「でも母は包み込んでいるその手を開かなくてはいけない!」「頼りなくて心配でも息子を包み込んではいけません!」

あくまで私の解釈で綴っておりますのでご容赦を!

授乳期が過ぎ・・・歩けるようになり・・・一人寝ができるようになり・・・と子供が母の手から少しづつ離れていく事は何より喜ばしい事ですが、母としてはどこか寂しい気持ちがあります。

「僕はね・・・ママと結婚するんだよ!チュッ!」
って本気で言ってた顔は忘れられません・・・涙

でも今では「僕はクラスに3人好きな女の子がいるんだ!お姉ちゃんは何人?」
という会話に変わりました。

こうしてすくすく大きくなっていくのだぁ・・・

でもヒゲが生えてきて汗臭くなる日が来るなんてまだ信じられない・・・きゃ~!

なんてことを考えながら・・・

ハムレットとガートルードの凄まじい親子バトルのシーンの白熱した稽古をぼーっと眺めておりました。


何歳まで一緒にお風呂入れるのかなぁ・・・
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by moriake | 2013-08-15 13:09 | 音楽のこと

ハムマガ7

娘が10歳の誕生日を迎えた日。10年前の自分を久しぶりに思い出しました。何も変わってないようで・・・いやいや!良くも悪くもすっかり変わってしまいました。びっくり!でも腕の中にすっぽり入ってた赤ちゃんがこんなに大きくなってツンとお姉さんぶって立ってるのを眺めるほうがもっとびっくり!10年前に突如私の前に現れた宝物!思春期目前で難しい年頃になってまいりましたが、まだまだ無邪気で可愛い笑顔に癒されます。薄情な母はお誕生日にオペラの稽古・・・本当にごめんね。

おっと!ハムマガでしたね。

ハムハムハムハムハム

今回はお盆休み直前の疲れた体に優しい内容で、登場人物の名前のおさらいで~す!

まずは…アムレット!
はい!フランス語はHを発音しませんのでハムレットはアムレットです。
歌の中では「アムレ~~」と聞こえて来るはず。あるCDではあえてHを発音して録音してるものもありますが、無理やり「ハッ」と発音するのは音楽の流れの妨げになって美しくないように思います。

次に…オフェリ。
はい!オフィーリアです。「オ」から始まる名前なのでその前の単語によって「~ゾフェリ~~」とか「~ドフェリ~~」と聞こえてくるのでちょっと不気味な感じ(笑)

オフェリのお兄さんレアティーズは・・・ラエルトです。
親友のホレイショはオラスィオ・・・

でも字幕は英語の定番の発音で記載されますのでご心配なく!

あとは名前ではないのですが王様の事を「Sireスィール」お妃を「Madameマダム」などと呼びます。

それから、ハムレットが狂った芝居を始めるとオフィーリアを突き放すために「TU親称」ではなく「VOUS敬称」で話すようになったり、亡霊を父親だと確信した瞬間ハムレットは「VOUS」から「TU」に切り替え親子の会話になります。なかなか聞き取りにくいとは思いますが、ハムレットの心情の変化とともに違いを感じていただけたらちょっと面白いかもしれません。

立ち稽古は粛々と進んでおります。先日は漸く「狂乱の場面」に入りました。
ちゃんと歌うことで精一杯な場面ではありますが、オフィーリアの感情の起伏の音楽と動作がピッタリ合った瞬間に技巧的なメロディが自然な心の叫びになります。ふわっと声が空に羽ばたくような感じ。これがオペラの醍醐味。

演出の佐藤美晴さんは若手女流演出家です!
女性が演出する「ハムレット」って珍しいような気がするのは私だけかしら・・・
勿論ハムレットの苦悩が物語の中心なのですが、最愛の母と恋人オフィーリアという存在についての考察は女性ならではのものがあります。

本番をどうぞお楽しみに!

まだまだチケット絶賛発売中!!!


楽しい夏休みを!
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by moriake | 2013-08-08 15:00 | 歌うこと

ハムマガ6

さぁ!オペラ「ハムレット」までいよいよ一ヶ月となりましたーっ!ハムマガもお陰様で6回目。
今回は原作に描かれていないオペラならではの名場面をご紹介いたしましょう!

049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その9」 【第一幕 ハムレットとオフィーリアの愛の二重唱】
開演してから約15分後!すぐですよー!

喪が明けぬ間の母親の再婚によりハムレットは既に女性という生き物に不信感を抱いているのですが、オペラではオフィーリアの純粋な愛にハムレットは一筋の希望を持ちます。
彼女の真っ直ぐな愛を受け止め、ひとときの甘い時間を過ごすのです。
これぞオペラ!と言うにふさわしい、恋人たちの対話です。
「光を疑え!太陽を疑え!でも俺の愛は疑うな!」
ひぇ~!!ハムレット様カッコ良すぎ~・・・汗
はじめオフィーリアは「最近ちと冷たいやろ」とチクリチクリしますが
最後にはうっとりハムレットの腕の中です。

オペラのお約束のようなただの愛の2重唱と思われがちですが、このシーンは意外と大事です。オペラではオフィーリアが狂乱するに至る原因がハムレットの心変わり、ハムレットのご乱心のみということになっているので・・・(原作では父親が殺されるという事件がありますがオペラにはない!)ここでしっかりと強い絆を表現しておかないとその後のオフィーリアの嘆きがチープなものになってしまいます。また、このオペラ全編を通して唯一のロマンティけックな場面ですから、お楽しみに!
・・・そういえば、バリトンさんとの愛の2重唱は滅多にないかも・・・

このシーンでハムレットはオフィーリアに愛を誓ったにもかかわらず亡霊に出会ってからは
オフィーリアを拒絶し彼女を侮辱していきます。そして原作でも有名な場面「尼寺へ行け~!」になるわけです。
049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その10」 【第3幕ハムレットと王妃とオフィーリアの3重唱】
この場面でのハムレットははっきり言って鬼です。
「アレー!ダンザンクロワートゥル!アレー!オフェリ!」
(尼寺へ行けー!行け!オフェーリア!)
オフィーリアはズタズタです・・・
この訳詞は定番の日本語訳で尼寺ですが修道院ということです。


あとは・・・悪役大王クローディアスの後悔のアリアは前回ご紹介しましたね。バス歌手の見せ場です!

あとは・・・ハムレットの学生時代の友人ローゼンクランツとギルデスターン。原作では王の手下のような鼻につく役回りで最後は陰謀に巻き込まれイギリスで処刑されてしまいますがオペラでは登場しません。

それから・・・オフィーリアの兄レアティーズは、父と妹をハムレットのせいで失い激怒。
原作では上手く王に丸め込まれてハムレットを殺すための決闘の相手となりますが、オペラではいよいよ決闘か!という瞬間にオフィーリアの葬儀の一行が通りがかり、決闘は中断され最後まで死なず幕となります。

因縁のノルウェーの王子フォーティンブラスも登場しません。

最後はハムレット王子が亡霊の指示するままに王を殺し「私が王だ!」
と言い切り幕となります。

この辺の場面は立ち稽古が進むにつれて面白いことになって行くのだと思います!
お楽しみに!

ではでは明日の稽古に備えて
おやすみなさ~い!
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by moriake | 2013-08-01 01:51 | 歌うこと

ハムマガ5

前回オペラとして書き換えられた「ハムレット」に迫る!
なんて予告してしまいましたが、原作の芝居とオペラとの違いを問うことはトマのオペラにケチをつけることになってしまうのでは・・・という思いがよぎって今回はなかなか更新できませんでした。

とはいうものの・・・お芝居とオペラはそもそ違う種類の娯楽です。それぞれに適したテーマがあり、見せ方があります。作品は作られた時代の流行とともに生まれるものですから、その辺はあまり悲観せずに大らかな気持ちで取り組んでみようと思いま~す。

ハムハムハムハム

さて、まずは登場人物の紹介から・・・
主要キャスト4名はハムマガ2でお知らせした通りですがキャラ解説付きでもう一度!

★ハムレット、デンマークの王子(バリトン)・・・「ハムマガ4」を参照。
★オフィーリア、王の侍従ポローニアスの娘(ソプラノ)・・・「ハムマガ3」参照。

★クローディアス、デンマーク王(バス)・・・このオペラの唯一の悪役。女も権力も欲望を全て叶えるエネルギーを持つ肉食系ちょーわるオヤジ。そんな彼も兄を殺した罪を後悔する瞬間があります。バス歌手の低音の魅力が堪能できる1曲が用意されてます!私はソプラノなので詳しくわからないのですが恐らく相当低い音域を鳴らすテクニックがいるのでは!「魔笛」のザラストロ顔負けのアリア(ハムマガ2参照)です。
049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その6」 【第3幕 王のアリア】

★ガートルード、王妃ハムレットの母(メゾソプラノ)・・・ズバリ女です!惚れた男のためなら何でもやっちゃいます。勿論良心の呵責に苛まれて最後まで苦しんでいます。特に最愛の息子ハムレットが思った以上に壊れてしまったことにとてもショックを受けてしまいます。ハムレットの嘆きがオフィーリアへの恋煩いであって欲しいと最後まで思い込もうとします。オペラ全体を通してとても悲痛な心の叫びを歌いますが、中でもオフィーリアに「おまえだけが頼りです。あの子を助けて!私を助けて!」と訴える場面は迫るものがあります。
049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その7」 【第2幕1場 王妃のアリオーゾ●】
●オペラ入門講座:アリオーゾとはセリフをしゃべるように歌うのとメロディを朗々と歌うのの中間で歌うアリア

その他に・・・
★オフィーリアの兄レアティーズ(テノール)・・・彼は幕開きの王の結婚式のために留学先のフランスから戻りましたがハムレットに妹を託してすぐにフランスに戻ってしまいます。オペラではお国のためになぜか戦地にいくのですが。(049.gifハムマガ2参照)そしてオフィーリアの死の知らせでまた帰国。ハムレットに決闘を申し込みます。原作ではハムレットに父親を殺されるのでその怒りとオフィーリアを狂わせ死に至らしめたハムレットへの恨みが込められています。

★将校マーセラス(テノール)・・・ハムレットに前王の亡霊の存在を知らせる役目があります。ハムレットが宮殿の中で信頼している数少ない人物の一人。

★ハムレットの友人ホレイショ(バス)・・・オペラではマーセラスとペアで登場しクローズアップされない役ではありますが、原作ではハムレットの無二の親友であり、終幕すべてが終わった時にたった一人生きてこの事件の目撃者として務めを果たす重要な役です。全体を通じてギリシャ劇のコロスのような役割があり、観客と舞台をつなぐ人物。

★亡霊、デンマーク王ハムレットの父(バス)・・・代わって王となったクローディアスの兄。弟に命と王位と妻を奪われた恨みで亡霊となり息子に復讐を迫ります。初めはハムレットと仲間にしか姿が見えない。終幕再び登場する時には全ての者に見える状態でハムレットに復讐を実行させる。

★ポローニアス、王の侍従、オフィーリアとレアティーズの父(バス)・・・オペラでは脇役ですが、原作ではクローディアスの手下として国王の殺害に手を貸し王妃との結婚にも協力します。願わくば娘オフィーリアを王子と結婚させられれば完璧!と思っている大変な策略家である。原作ではハムレットと王妃の場面でカーテンの影でこっそり様子を伺っていたところハムレットに王と間違えられて刺殺されてしまいます。オフィーリアの狂乱はこの悲劇から加速することになるのですが、オペラではなんと!最終幕の幕切れまで生きています・・・汗
彼が「オテロ」のイヤーゴのようだったらかなりの迫力が出そうですが、そこまで悪人ではないので悪役はクローディアス王一人で我慢してもらいます。

★墓堀人1.2(バリトン&テノール)・・・大詰めでオフィーリアの墓を掘る場面があります。狂乱の場の直後に一見地味なシーンですがお芝居オペラ共に大変印象に残るところ。オペラでは「偉いのも金持ちも男も女も死んじまったらみんなおんなじよ。必ず番が回ってくるのさ。この世のことは全て虚しい!でも酒は別よ!人生は酒の中にある!」と土を掘りながら歌います。モーツァルトの「魔笛」の武士の2重唱のような雰囲気で私はとても好きです。
049.gif「ハムレット」聴きどころ「その8」 【第5幕1場 墓堀人達の唄】

とキャストを紹介しただけでこんなに長くなってしまいました。
残念ですが場面の解説は次回に!

ちなみに今回の「ハムレット」公演のリハーサルはちょうど音楽稽古を終了し立ち稽古に入るところです。
指揮者の岩村力さんをはじめ全てのキャストさん合唱の皆さんともお目にかかり、公演が楽しみになってまいりました!というより私たちキャストは暗譜地獄で苦しんでるところです・・・汗

「ハムレット」公演チケット絶賛発売中!!!!
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by moriake | 2013-07-28 01:08 | 歌うこと

ハムマガ4

さあ!いよいよハムレット様に迫ります!まずは「ハムレットの狂乱の場」から!…って?狂乱は前回のネタでしょ?いえいえ!ハム君も狂乱してしまうのですよ!

失礼!正確には狂った振りをする・・・ですね。
前王である父の突然の死と母の早過ぎる再婚。
受け止めきれない事が重なる矢先
なんと父親の亡霊に出会う!
そこで真実を知らされ、怒りと悲しみが爆発します。
前王の亡霊から託された復讐…父の無念を晴らすには…
ハムレットは戴冠と婚礼の宴の夜に悪を炙り出す作戦を考えます。

049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その3」 【第二幕フィナーレ】
〜ああ、耐え難い侮辱!錯乱しているぞ!〜

キャスト7人の7重唱に合唱が加わり激しいオーケストラが鳴り響く壮大なアンサンブル。
オペラ中盤の山場●となります。
オペラ初参戦の方へ//オペラでは二幕または中盤の休憩前に出演者総出演で大アンサンブルを繰り広げます。そこでは大事件が起きたり、ドラマの結末を暗示するかのようなスリリングな芝居が見られます。

ハムレットは旅一座の一行に今宵の宴を盛り上げてもらおうとある有名な芝居を演じるよう命じます。「老王ゴンザゴー殺し」。舞台は「ハムレット」の物語と劇中劇の芝居が重なり合って進行して行きます。オペラでは役者はパントマイムだけ。ハムレットが語り部となります。芝居の半ばで王が突然激しく動揺し出しました。
そうです!ハムレットは我が父を殺した非道な人間こそ、今ここで王冠をつけて座っている者だと確信しました。亡霊の言うとおりだったと・・・
ハムレットの狂乱した迫真の芝居は周りの者たちを恐怖に陥れ、祝宴は混乱の渦へと一転します。

このフィナーレに先立ってハムレットは「酒の唄」という威勢の良いアリアを歌います。
049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その4」 第二幕ハムレットの「酒の唄」

フランス語では「バッカスの唄」となっていますのでここでの「酒」は「ワイン」です!
前場面で父親の亡霊に出会い復讐を誓い、景気付けに「友よ!飲もう!人生は短い!」と高らかに歌いあげます。モーツァルトのオペラ「ドンジョヴァンニ」にもドンジョヴァンニが歌う「酒の唄」がありますね。どちらもバリトンの主役が歌う見せ場として印象に残るところが似ています。そういえば亡霊も登場しますね。あちらは悪行を悔い改めさせるための亡霊ですが・・・

そしてハムレットには忘れてはいけない場面があります。
「生きるべきか死ぬべきか…それが問題だ!」
この名セリフ!もちろんオペラにもありますよ!

049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その5」 第3幕【ハムレットのモノローグ】

フランス語では「エ~トゥル~ヌパゼ~トゥル~オ~ミステ~ル」
と歌いますのでお聴き逃しなく!(字幕が出ますからご心配なく!)

ハムハムハムハム

ハムレットの苦悩は一体どこから湧いてくるのか?
それは大人達の行い、または大人たちに操られる仲間への怒りや無念さからではないでしょうか。
王クローディアスの醜い権力欲。母王妃の女としての生き方への疑問、オフィーリアのあまりに盲目的な大人への忠誠心、友人たちの権力へ諂う姿。これらはすべて人間の弱さからくるもの。そこに憤りを感じていたのだと思います。しかしハムレットはヒーローではない。彼も弱く誰よりも苦しんでいる。
舞台は、物語と共に一人殺される・・・また一人殺される・・・と次々に登場人物が消えてゆき、最後はハムレットまでいなくなります(原作では・・・)。

原作ではハムレットは死を前に親友ホレイショにこのようなことを言います。
「もうお別れだ・・・お前はこの世に留まり皆に伝えておくれ!ここに至った一部始終を!」(抜粋)
そして一人残されたホレイショは因縁のノルウェーの王子にハムレット王子の遺言を告げる。
ハムレットにかわり王位に就くノルウェーの王子はこの惨事を真摯に受け止め手厚くハムレットを弔う。
婚礼の祝砲から始まったこの物語は弔砲によって幕となる。

う~む。暗い・・・

さ~て!来週のハムマガさんは~!(注:サザエさんの声で)

シェイクスピアの原作に流れるこの大きなテーマを踏まえて
オペラとして書き換えられた点について触れてみたいと思いま~す!


9/1日 神奈川県民ホール大ホール 首都オペラ「ハムレット」トマ作曲
チケット絶賛発売中!!!!
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by moriake | 2013-07-19 11:57

ハムマガ 3

狂乱物…能や歌舞伎にしてもオペラにしてもある時代において観客を熱狂させた出し物です

今日はその「物狂いの美」の魅力について迫ってみようと思います。

と申しましても…
この「ハムマガ」は 060.gif9/1神奈川県民ホール「ハムレット」公演
にご予約頂いたオペラ入門編のお客様とオペラは敷居が高いわ!とまだ悩んでる方々へ
お届けしておりますので、専門的な検索の方はスルーして下さいね!

ハムハムハムハムハムハムハム


さて、私が演じますオフィーリアという役は
シェイクスピアの原作「ハムレット」を読む限りでは
物語の中心にいる役ではないように思えます。
しかーし!!
オペラ「ハムレット」では有難いことにとても重要な役!
なんといっても20分もの長~い一人舞台「狂乱の場」があることで有名です。

049.gif「ハムレット」の聴きどころ「その2」 第4幕第2場【オフィーリアの狂乱の場】

オフィーリアはとても純粋な娘。愛するハムレットの突然の乱心に心を痛めていた矢先、
彼から不当な侮辱を受けます・・・ここが有名な「尼寺へ行け!」のシーンですね。
更にハムレットが誤って彼女の父親を殺害・・・このシーンはオペラではカットされてますが。
彼女はガラガラと壊れていきます・・・

そして一人お城を抜け出し森へ、幻覚と幻聴の中で誰にも見えないお友達と花を摘み、
心に潜む悲しみを詩人のように語り、溢れ出す涙と、込み上げる笑いの嵐のなか、
川辺で足を滑らせて川底に沈んでいきます。

テートギャラリー所蔵のミレイの絵画にもあるように
花冠をつけて沢山の花に囲まれたオフィーリアの姿はあまりにも美しい・・・
他にも多くの画家たちがオフィーリアを描きました。
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日本では能から始まり歌舞伎に至るまで昔から様々な狂乱物の作品がありました。
有名な「隅田川」は我が子を亡くした母親の狂乱ですが、惚れた男に捨てられたり、
親や世間に認められない禁断の恋に落ちた時にも男女問わず狂乱します。
古今東西!人はみな同じ!ヨーロッパでもバロック時代から狂乱物があったそうで、
最盛期は1820年代~40年代のイタリア。ベルカントオペラ●時代と言われる頃です。
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」「夢遊病の女」ベッリーニ「清教徒」・・・etc
オペラ初参戦の方へ:ベルカントオペラとはオペラ作品の種類。「ベルカント」は「美しい歌」の意。
19世紀ロマン派音楽の真っただ中オペラ歌手の美しい歌声と超絶テクニックを駆使してドラマを表現した作品がたくさん生み出されました。これ以降巨匠ヴェルディの傑作が現れ更には血なまぐさいヴェリズモオペラ(写実的オペラ)へとイタリアオペラは進化していきます。


オペラと歌舞伎は狂乱が好き!

どうしてでしょうか?
・・・役者は狂うことによってその演技力の極限を披露することができる。
と故永竹由幸先生は著書「オペラと歌舞伎」にて語っています。

イタリアではカストラート(去勢男性歌手)がソプラノのような高音を華やかな技巧で飾った時代がありました。カストラートが禁止されてからは女性がその代りを歌うようになります。
もともと太くて肉感的なアルトの声を持つ女性は少なく、今も昔もソプラノばかりたくさんいましたので彼女たちの魅力を引き立たせるには・・・と考えたときに「そうだ!狂わせてしまえ~!」と閃いた…といった感じ。喜劇や荒唐無稽な内容の作品ではいいですが悲劇の中で非日常的な高音で歌われてもお客様はヒロインに感情移入ができない・・・だって日常会話ではそうそう高い声は使いませんからね。だから私達ソプラノ歌手は平常時にはできるだけ低い声でしゃべります(笑)。でないと変なテンションの女・・・と思われてしまいますから。
というわけで、ハイソプラノの役には理性ある知的なキャラクターというよりちょっと狂ったキャラで曲芸的な高音のパッセージに迫真の表現力を授けました。
ちなみに前時代のモーツァルトはこのような高音のアジリタ●を怒り狂った女が炎のごとく噴射しまくるシーンなどで大いに活用して芸術の極みに到達させました。
16分音符のような細かい音符の連続で音階を上に行ったり下に行ったりと凄まじい速さで歌うことをアジリタといいます

さて今回も長くなってしまいました・・・ 

オフィーリアに話を戻しますと、シェイクスピアはオフィーリアを一人の弱い人間の代表として描いていると思われます。恐らく幼い頃から王子ハムレットに思いを寄せてはいても王様に仕える父を持つ身としては身分不相応ということを理解していただろうし。王に献身を尽くしてるようで実は相当の陰謀家である父に対しても娘として従順であり、誰が見ても申し分のない気立ての良い娘であったはずです。知らず知らず自分の心に蓋を閉めて生きていた・・・ この無意識の抑圧が狂乱へ。

オペラの台本ではほとんど削除されてしまっていますが、狂乱してからのオフィーリアのセリフは非常にエグイ内容です。乙女が決して口にできない言葉を狂気によって言わされているかのようです。聞かされるほうはショックであるというより痛々しくて泣けてくる・・・ 特に王妃の動揺は大きいでしょう。王にも新王にも愛され善悪の狭間で苦悩しつつも女の幸せを知っている王妃。人生これからという可憐な花が惨めに散ってゆく姿は耐えられない・・・

そして上の写真にもありますがオフィーリアの死の場面では様々な草花の名前が出てきます。
その一つ一つに花言葉があり、知っている人にはその花に込められた思いが痛いほど分かり切なくなります。柳の木、キンポウゲ、イラクサ、ひな菊、紫蘭、・・・

こんなに印象に残る場面ですがなんと!!原作ではこのオフィーリアの死の場面がな~い!
オフィーリアは赫赫云々で死んでしまった!と王妃が報告するだけです。
一番の見せ場で出番な~し!

そこで作曲家トマは・・・というより台本作家のM.カレ&J.バルビエコンビ●は王妃が語る3分弱のセリフを大幅にアレンジ!幻想的なオフィーリアの一人舞台に仕立てました。
この二人は「ファウスト」「ロメジュリ」「ホフマン物語」も手掛けた黄金コンビ!

そしてフランスにおける「オペラ狂乱時代」の最後の大輪が花開き、普仏戦争が始まるまでの数年間オペラ座の人気レパートリーとして君臨した訳です。観客はこのデンマーク王室の悲劇に飲み込まれていくオフィーリアを切なく見つめ、抒情的で甘美な音楽に酔いしれたのでしょうね。
初演のオフィーリアはスウェーデン出身のソプラノ、クリスティーヌ・二ルソン。金髪で神秘的な瞳、クリスタルのような声をもっていたそうです。光の玉を転がすように高音を操り、夢想的でオーロラのような神秘的な存在感だったと記録されていますよ。・・・う~む。ナマで見たい・・・

ここまで読んで下さった方!本当にありがとうございます!また長くなってしまいました・・・

では最後にオペラ台本による「狂乱の場」の大まかな内容をご紹介しましょう。

オフィーリア登場のテーマが流れる。
森に迷い込んだオフィーリアは大変機嫌良く、見えないお友達と花を摘んでいます。
そして語りだす。
・・・ハムレットは私の夫なの。甘い誓いで結ばれているの。
・・・彼が私から逃げるって?私をわすれる?そんこと信じないわ・・・
・・・ローズマリーはあなたに!あなたにはビンカの花を!Ah!hahahaha!・・・・
笑顔一転!
妖精ヴィリスの伝説を歌い始める。スウェーデンの古い民謡の調べに乗せて。
・・・妖精ヴィリスは夫に抱きしめられる幸せな妻を見て嫉妬・・・
・・・あなたを水の底に引きずり込む・・・炎の眼差しを持つ水の精・・・ラララ・・・
ついに錯乱状態!
・・・永遠にさようなら!愛しい人・・・
・・・ああ!甘い告白・・・優しい誓い・・・
・・・ああ!酷い人・・・愛しているわ・・・
・・・私は・・・死にます・・・
そして音楽はハープの音色とともにさざ波の如くたゆたう。
オフィーリアはハムレットが彼女に捧げた言葉を繰り返す。
・・・光を疑うがよい、太陽を疑うがよい、しかし私の愛は疑うな!決して・・・決して・・・
音楽とともにオフィーリアは川の底に沈んで行きます。


という感じで今回はオフェーリア中心に作品を眺めてみました。
次回はいよいよ主役ハムレット王子の苦悩に迫ります!
お楽しみに!

・・・とダラダラ書いておいて恐縮なんですが。

オペラも歌舞伎も今や限られた人が楽しむ高尚な芸術だと思われがちですが、もともとは娯楽ですから非日常的な物語に浸って笑ったり涙したり…ご贔屓の役者や歌手を観てうっとりしたり…劇場で美味しいものを頂き●デートや社交を楽しむ。そしてまた明日から仕事頑張ろう!でよろしいかと。。。
神奈川県民ホールは裏手に横浜中華街が広がっておりま~す!


参考文献:高橋英郎著「エスプリの音楽(春秋社)」永竹由幸著「オペラと歌舞伎(丸善ライブラリー)」
「フランス音楽史(春秋社)」「hamlet ~Shakespeare dans l'opéra français :hisoire d'un détour(André Tubeuf) 」

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by moriake | 2013-07-12 13:13

ハムマガ 番外編

オッフェンバックはどうしてもオペラを書きたかった…
オペラ「ホフマン物語」は彼の残された人生をかけて作曲された集大成…
超人気のオペレッタ作曲家が見た最後の夢はオペラ!!!

先日パリオペラ座ライヴビューイングの「ホフマン物語」を鑑賞しました。
それで今回はフランスのオペラについて「ハムマガ番外編」にて触れてみようと思います!

「ホフマン物語」は大好きなオペラの一つ!
これまでに色々なプロダクションを観て参りました。
今回のパリオペの映像は確か…2000年?プルミエのR.カールセンの演出。
酒場がバスティーユのメインロビーのドリンクコーナーにそっくりで、
メインの舞台はガルニエの客席を舞台側からみたようなイメージです。
私はそのプルミエを当時絶好調だったナタリーデセイのオランピアで観てしまったので、
その後残念ながらなかなかそれを超える感動は得られていません。
彼女のためにあるエグイ演出と衣装!
ですからナタリーのように人間的にもぶっ飛んだキャラクターがないと
ちょっとイタイ場面になってしまうかも・・・
しかし最近コロラトゥーラソプラノのレベルは大きく進歩してますね。
高音が果てしなく出るハイパーソプラノでした!
ホフマン役のテノールはバリバリイタリア人でとても軽快に演ってのけました。
ちょう難役なのに立派です!
アントニアも素晴らしかった!
METでネトレプコが演じた時はあまりにも楽勝すぎて・・・。
悪役一人4役のバリトンも素晴らしい!
ジュリエッタの場面ではジャンレノばりのちょいワルオヤジでカッコ良かったなぁ。
ニコラウス役はとても難しい…メゾソプラノの難役のひとつなのでは・・・。
今回音楽がイマイチ停滞してしまうのは指揮者さんの・・・いえっ!劇場のせいかな?
バスチーユは本当に難しい劇場だと思います。
ガラーンとした空間・・・。
日本だったらオーチャードでオペラやった感じに近いかな。
録音はマイクを凄く近くにセットしたり工夫はしてましたが・・・。

偶然にも間も無く東京二期会が同オペラを上演します!
11月には新国で!・・・なぜか流行ってる・・・
私も伺いますが、特に宣伝を頼まれてる訳ではございませんのであしからず・・・

皆様におかれましては
9/1の「ハムレット」!!!!!是非是非お越しくださいませね!

   ハムハムハムハムハムハムハムハム


さて…少し時代を戻してみましょう。

ご存知の通りフランスは度々王制と共和制を繰り返した歴史があります。
激動の時代の中でオペラは消えることなく発展していきました。

オペラといえばイタリア!というイメージがありますが、
パリは昔からヨーロッパの文化の中心的な街でしたから
イタリアオペラの代表選手ロッシーニもヴェルディもドニゼッティもパリでの公演のために
力を注ぎました。もちろんワーグナーもです。

パリのオペラ座はどんなに政治が不安定でも政権が代わっても
常に巨額の予算が付けられ、文化の中心として栄えました。
オペラ座の社交界はフランス又は世界の財界人にとって大変有意義な場所だったからです。

他にもパリにはいつくかのオペラ劇場がありました。(今もありますが・・・)
その一つ一つに格付けがあり、上演できる作品が決められていました。
歌舞伎座と国立劇場とは上演作品の傾向が違う…よりもハッキリした決まりだったようです。

オペラ座、オペラコミック座、リリック座、イタリア座・・・etc

外国人作曲家の作品は年間何本までとかフランスの若手作曲家の作品を何本とりあげるとかまで規制されていた時代もあったようです。

特にオペラ座で上演するには・・・歌と歌の間のお芝居はセリフではなくレチタティーヴォ
(メロディに乗せて歌うように話す…みたいな)でなくてはいけませんでした。
ウェーバーの「魔弾の射手」はパリオペラ座のために
ベルリオーズがわざわざフランス語でレチタティーヴォを作曲しました。
グノーの「ファウスト」も実ははじめセリフ芝居で綴られた作品だったそうですが
いよいよ出世してオペラ座で上演できる運びとなった時にセリフを作曲したそうです。
ビゼーの「カルメン」も本来セリフでのお芝居で綴られますが別の作曲家が書き足しました。
「カルメン」の場合はあまりにヒットしたため、海外での上演を求められ誰でも演じられるように
というほうが重要ですね。

この「セリフ」か?「レチタティーヴォ」か?という特色がパリでは何故か重要でした。
この違いを「オペラコミック」と「グランドオペラ」という呼び名で区別しています。
物語の内容から見ると後者のほうが壮大なテーマまたは原作が名作だったりします。
それから上演時間も「グランドオペラ」のほうが長く大抵は5幕ものでした。
・・・ちなみに「ハムレット」も5幕です!

それから忘れていけないのがバレエです!
オペラ座はオペラとバレエの2本柱で成り立っています。
必ずバレエを魅せる単独のシーンが数箇所なくてはいけませんでした。

もちろん合唱団を使った壮大なシーンも必須でした。

絢爛豪華なオペラ座で予算をかけた派手な舞台セット!夢のような衣装!
大規模な合唱団!素晴らしいバレエ!
これでフランスは世界に力をアピールしたのです!
莫大な赤字を累積し続けてもです。
なんだか凄いですね!さすがルイの国!

さて「ハムレット」は以上の全ての条件を満たしたオペラです。

ということは・・・ そうです!当たり!「グランドオペラ」です!

え~っ!長いの嫌だよ~!舞踏シーンは長くなくていいよ~!
お話は壮大じゃなくていいよ~!

そうですね!私もそう思います・・・
この「グランドオペラ」スタイルは19世紀が終わる頃にはすっかり
時代遅れとなってしまいます。
時代はもっ身近な登場人物による生々しいお話を好むようになりました。

トマの「ハムレット」は1868年に初演されたので
この「グランドオペラ」がもてはやされていた時代の最後の華だったのかもしれません。

幸運なことにこの時代パリには名歌手が揃っており、彼らの才能あるパフォーマンスで
公演が成功するということになっていたようです。

さて・・・時代遅れの作品をなぜ現代にやるのかい?

と思われたかと思います。これじゃ「ハムレット」の販促活動にならんやろ!
と言われそうですね。

これでは終われないので長くなりますがもう少し・・・

多くのグランドオペラが消えていった中でトマの「ハムレット」は生き残りました!

それは原作がシェイクスピアだったからです。

いえ!失礼しました!もちろん作曲家トマの功績も沢山あります。

だって高橋英郎著『エスプリの音楽』によるとオペラ「ハムレット」って18作品あるそうですが、
現在までの残っているのはこのトマの作品のみですから!
若くして才能を発揮し恵まれたトマですが度々のライバル出現で何度も挫折を味わいました。
イタリアからはドニゼッティ・・・後輩のグノーにも追い抜かれる・・・
前作「ミニョン」で大ブレイクする前も数年作品は発表せずに研究を重ねたそうです。
「ミニョン」の追い風とともに「ハムレット」は作られました。

昔から多くの舞台人が虜になったシェイクスピアの作品
作品から発せられる強いメッセージをどう料理するか?
その野望はいつの時代も失せることなく続いています。

お芝居の「ハムレット」を知らない人は少ないでしょう。
原作を知っているまた熟知している観客があーでもない!こうでもない!と言って
楽しむ作品なんだと思います。
原作との比較で常にケチをつけられますが、それでいいのだと思います。
だってオペラですから! 盛り上がってなんぼです!

既にご予約頂いた有難いお客様、ならびにまだ迷っている皆様!
ご心配なく!
今回は現代に生きる私たちが耐えうる上演時間となっております。
諸処のカットによりストーリーの展開がスムーズになりとても楽しめるものとなりました。

あとは役者次第  ・・・汗

キャストのみなさ~ん!合唱のみなさ~ん!がんばりましょう!
イェ~~~~イ!

ほんとに長すぎてごめんなさい・・・
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by moriake | 2013-06-28 22:30 | 音楽のこと

ハムマガ その2

今回は「ハムレット王子はテノールじゃないのね?」
という感想を頂きましたのでちょっと考えてみました。
確かに!テノールでも良さそうですね。

王子様=テノール!! 

オペラ「ハムレット」の主要キャストは4人。
王子ハムレットがバリトン、
オフィーリアがソプラノ、
王クローディアスがバス、
王妃ガートルード(ハム母)がメゾソプラノとなっております。

ハムレットとはどんな人間なのか?
昔から巷ではハムレットって~憂鬱症でマザコンで優柔不断で・・・
と言いたい放題言われているようですが、殺された父の仇を打つために
復讐心に燃える血の気のある王子という見方もあります。
この作品の作曲家トマは悩めるハムレットをバリトンの音色で描きたかった。
料理の仕方によって作曲家が歌手の声種を選べる訳です。
トマは「バス歌手のような力強さがありながらチェロのような響きを持ち必要ならば
テノールの音域までカバーできるハムレット」を描いた。
(A.Tubeuf:フランスオペラにおけるシェイクスピア~その回り道の歴史より)

ちなみに初演時のハムレット役ジャン・バプティスト・フォーレは正に当たり役だったそうで、初演は大成功!それからしばらくの間は才能ある歌手陣のお陰でオペラ「ハムレット」は再演が続いたそうです。

さてさて・・・ではテノールは一体どんな役で登場するのでしょう?

オフィーリアのお兄さんレアティーズです!
ハムレット王子とは身分は違うものの幼馴染。
目下フランスに留学中の身で勉学に社会勉強に勤しむ生きのいい好青年です。

049.gifこのオペラの聴きどころ「その1」
第1幕第1場(はじまって20分後)
レアティーズのカヴァティーナ(アリアではない・・・)
前王崩御の直後に王妃が再婚。
新王の戴冠式に参列のため一時帰国していたレアティーズ。
再びフランスに戻るためハムレットとオフィーリアに別れの挨拶に来る。
(オペラでは戦地に行くことになっていてかなりシリアスな別れとなってます)
愛しい妹をよろしく頼む!とハムレットに歌うシーンです。
妹を案じてのお願いとは思えないロマンティックで甘~い音楽・・・
ファウストか?ロメオか?はたまたホセか?
若々しいエネルギーが溢れる熱っぽいアリアです!
おっと・・・アリアではなかったですねぇ。
(オペラ初参戦の皆様へ:アリアとは物語の中で自分の気持ちなどを語るために1曲まるまる一人で歌う曲のことです。その役の見せ場となります。カヴァティーナはアリアまでいかない小曲。この時代のアリアには歌の最後に美しい声の見せ場があり、物語をしばし中断して歌手に拍手喝さいをおくります。)

なんとこの素晴らしく美しいレアティーズの見せ場の最後にハムレットとオフィーリアがワ~っと割り込んで3重唱になって終わります。更になんと!終わった瞬間に次のシーンの音楽が滑り込んでくるから拍手ができない!(ラボエームのムゼッタのワルツの後より拍手は難しい・・・)

幕が開いて最初のアリアの場面でイケメンテノールがもってってしまうのを懸念したのでしょうか(笑)
いえいえ!ハムレットのモヤモヤに容赦無く響く祝宴のファンファーレ・・・
母と叔父との結婚・・・王位についた祝杯の盃には危険な香りが・・・
実にテンポよくドラマは展開していきます。

オフィーリア役とソプラノ歌手についてはまた今度!



*このブログは私とのご縁でオペラ公演に初めてお越し下さるお客様やオペラ「ハムレット」を初めて御覧になる方が公演を楽しんで頂けるよう作品を紹介することを目的としております。専門的に作品を考察する場合は別のサイトをご参考になさってくださいね。


2013.9/1(日)2時開演 神奈川県民ホール大ホール
首都オペラトマ作曲「ハムレット」
チケット絶賛発売中!!

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by moriake | 2013-06-23 19:31

森朱美コンサート情報!

FACE BOOKページでも情報を公開しております!
ソプラノ森朱美Akemi Mori Sopranoで検索ください!

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