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La vie en rose ・・・ 歌うこと・生きること・楽しむこと


ソプラノ歌手の森朱美。子育てと音楽。人生最後の日に「La vie en rose!」といえたら・・・と日々奮闘中!
by moriake
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ハムマガ 番外編

オッフェンバックはどうしてもオペラを書きたかった…
オペラ「ホフマン物語」は彼の残された人生をかけて作曲された集大成…
超人気のオペレッタ作曲家が見た最後の夢はオペラ!!!

先日パリオペラ座ライヴビューイングの「ホフマン物語」を鑑賞しました。
それで今回はフランスのオペラについて「ハムマガ番外編」にて触れてみようと思います!

「ホフマン物語」は大好きなオペラの一つ!
これまでに色々なプロダクションを観て参りました。
今回のパリオペの映像は確か…2000年?プルミエのR.カールセンの演出。
酒場がバスティーユのメインロビーのドリンクコーナーにそっくりで、
メインの舞台はガルニエの客席を舞台側からみたようなイメージです。
私はそのプルミエを当時絶好調だったナタリーデセイのオランピアで観てしまったので、
その後残念ながらなかなかそれを超える感動は得られていません。
彼女のためにあるエグイ演出と衣装!
ですからナタリーのように人間的にもぶっ飛んだキャラクターがないと
ちょっとイタイ場面になってしまうかも・・・
しかし最近コロラトゥーラソプラノのレベルは大きく進歩してますね。
高音が果てしなく出るハイパーソプラノでした!
ホフマン役のテノールはバリバリイタリア人でとても軽快に演ってのけました。
ちょう難役なのに立派です!
アントニアも素晴らしかった!
METでネトレプコが演じた時はあまりにも楽勝すぎて・・・。
悪役一人4役のバリトンも素晴らしい!
ジュリエッタの場面ではジャンレノばりのちょいワルオヤジでカッコ良かったなぁ。
ニコラウス役はとても難しい…メゾソプラノの難役のひとつなのでは・・・。
今回音楽がイマイチ停滞してしまうのは指揮者さんの・・・いえっ!劇場のせいかな?
バスチーユは本当に難しい劇場だと思います。
ガラーンとした空間・・・。
日本だったらオーチャードでオペラやった感じに近いかな。
録音はマイクを凄く近くにセットしたり工夫はしてましたが・・・。

偶然にも間も無く東京二期会が同オペラを上演します!
11月には新国で!・・・なぜか流行ってる・・・
私も伺いますが、特に宣伝を頼まれてる訳ではございませんのであしからず・・・

皆様におかれましては
9/1の「ハムレット」!!!!!是非是非お越しくださいませね!

   ハムハムハムハムハムハムハムハム


さて…少し時代を戻してみましょう。

ご存知の通りフランスは度々王制と共和制を繰り返した歴史があります。
激動の時代の中でオペラは消えることなく発展していきました。

オペラといえばイタリア!というイメージがありますが、
パリは昔からヨーロッパの文化の中心的な街でしたから
イタリアオペラの代表選手ロッシーニもヴェルディもドニゼッティもパリでの公演のために
力を注ぎました。もちろんワーグナーもです。

パリのオペラ座はどんなに政治が不安定でも政権が代わっても
常に巨額の予算が付けられ、文化の中心として栄えました。
オペラ座の社交界はフランス又は世界の財界人にとって大変有意義な場所だったからです。

他にもパリにはいつくかのオペラ劇場がありました。(今もありますが・・・)
その一つ一つに格付けがあり、上演できる作品が決められていました。
歌舞伎座と国立劇場とは上演作品の傾向が違う…よりもハッキリした決まりだったようです。

オペラ座、オペラコミック座、リリック座、イタリア座・・・etc

外国人作曲家の作品は年間何本までとかフランスの若手作曲家の作品を何本とりあげるとかまで規制されていた時代もあったようです。

特にオペラ座で上演するには・・・歌と歌の間のお芝居はセリフではなくレチタティーヴォ
(メロディに乗せて歌うように話す…みたいな)でなくてはいけませんでした。
ウェーバーの「魔弾の射手」はパリオペラ座のために
ベルリオーズがわざわざフランス語でレチタティーヴォを作曲しました。
グノーの「ファウスト」も実ははじめセリフ芝居で綴られた作品だったそうですが
いよいよ出世してオペラ座で上演できる運びとなった時にセリフを作曲したそうです。
ビゼーの「カルメン」も本来セリフでのお芝居で綴られますが別の作曲家が書き足しました。
「カルメン」の場合はあまりにヒットしたため、海外での上演を求められ誰でも演じられるように
というほうが重要ですね。

この「セリフ」か?「レチタティーヴォ」か?という特色がパリでは何故か重要でした。
この違いを「オペラコミック」と「グランドオペラ」という呼び名で区別しています。
物語の内容から見ると後者のほうが壮大なテーマまたは原作が名作だったりします。
それから上演時間も「グランドオペラ」のほうが長く大抵は5幕ものでした。
・・・ちなみに「ハムレット」も5幕です!

それから忘れていけないのがバレエです!
オペラ座はオペラとバレエの2本柱で成り立っています。
必ずバレエを魅せる単独のシーンが数箇所なくてはいけませんでした。

もちろん合唱団を使った壮大なシーンも必須でした。

絢爛豪華なオペラ座で予算をかけた派手な舞台セット!夢のような衣装!
大規模な合唱団!素晴らしいバレエ!
これでフランスは世界に力をアピールしたのです!
莫大な赤字を累積し続けてもです。
なんだか凄いですね!さすがルイの国!

さて「ハムレット」は以上の全ての条件を満たしたオペラです。

ということは・・・ そうです!当たり!「グランドオペラ」です!

え~っ!長いの嫌だよ~!舞踏シーンは長くなくていいよ~!
お話は壮大じゃなくていいよ~!

そうですね!私もそう思います・・・
この「グランドオペラ」スタイルは19世紀が終わる頃にはすっかり
時代遅れとなってしまいます。
時代はもっ身近な登場人物による生々しいお話を好むようになりました。

トマの「ハムレット」は1868年に初演されたので
この「グランドオペラ」がもてはやされていた時代の最後の華だったのかもしれません。

幸運なことにこの時代パリには名歌手が揃っており、彼らの才能あるパフォーマンスで
公演が成功するということになっていたようです。

さて・・・時代遅れの作品をなぜ現代にやるのかい?

と思われたかと思います。これじゃ「ハムレット」の販促活動にならんやろ!
と言われそうですね。

これでは終われないので長くなりますがもう少し・・・

多くのグランドオペラが消えていった中でトマの「ハムレット」は生き残りました!

それは原作がシェイクスピアだったからです。

いえ!失礼しました!もちろん作曲家トマの功績も沢山あります。

だって高橋英郎著『エスプリの音楽』によるとオペラ「ハムレット」って18作品あるそうですが、
現在までの残っているのはこのトマの作品のみですから!
若くして才能を発揮し恵まれたトマですが度々のライバル出現で何度も挫折を味わいました。
イタリアからはドニゼッティ・・・後輩のグノーにも追い抜かれる・・・
前作「ミニョン」で大ブレイクする前も数年作品は発表せずに研究を重ねたそうです。
「ミニョン」の追い風とともに「ハムレット」は作られました。

昔から多くの舞台人が虜になったシェイクスピアの作品
作品から発せられる強いメッセージをどう料理するか?
その野望はいつの時代も失せることなく続いています。

お芝居の「ハムレット」を知らない人は少ないでしょう。
原作を知っているまた熟知している観客があーでもない!こうでもない!と言って
楽しむ作品なんだと思います。
原作との比較で常にケチをつけられますが、それでいいのだと思います。
だってオペラですから! 盛り上がってなんぼです!

既にご予約頂いた有難いお客様、ならびにまだ迷っている皆様!
ご心配なく!
今回は現代に生きる私たちが耐えうる上演時間となっております。
諸処のカットによりストーリーの展開がスムーズになりとても楽しめるものとなりました。

あとは役者次第  ・・・汗

キャストのみなさ~ん!合唱のみなさ~ん!がんばりましょう!
イェ~~~~イ!

ほんとに長すぎてごめんなさい・・・
by moriake | 2013-06-28 22:30 | 音楽のこと

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